2010年09月03日
【想い出釣行記】 第十三話 粟島釣行記完結編
さて、粟島釣行記もいよいよ今回で最終話となりました
埃や排気ガスにまみれて生活している自分達の環境とは全く違う日本の楽園
時の流れさえもが、ゆっくり、ゆったりと進んでいます
この物語の時期は十数年前のちょうど今頃です
今回は写真がないのですが、是非皆さんの頭の中に粟島の風景を描きながらご覧ください
それでは粟島釣行記完結編をどうぞ
埃や排気ガスにまみれて生活している自分達の環境とは全く違う日本の楽園
時の流れさえもが、ゆっくり、ゆったりと進んでいます
この物語の時期は十数年前のちょうど今頃です
今回は写真がないのですが、是非皆さんの頭の中に粟島の風景を描きながらご覧ください
それでは粟島釣行記完結編をどうぞ
僕らの次の目的地は、粟島の西に位置する釜谷にある「げんざえもん」といいう民宿だ。
内浦から釜谷へ行くには一山越すため、車で迎えに来てもらおうと思い電話を入れてみた。
電話に出たおばさんの話では、民宿のご主人が新潟に行っているため車は港にある。
だから車に乗ってきてくれ。車には鍵がかかっていない。車には民宿の名前が書いてある。はよ来い。さ〜来い。どんと来い。
ってなわけで、内浦港にいき民宿の車を捜した。
ありました、ありました。ワゴン車のドアに民宿の名前がバーンとかかれている。
おばさんの話の通り、車には鍵がかかっていない。
荷台に荷物を放り込み、エンジンをかけて出発した。
「俺は泥棒じゃないかんな。」
と、誰にとも無く言い訳して釜谷へ向かった。
道は山越えの一本道だから迷うことなく釜谷へついた。
民宿の前のベンチには電話に出たおばさんが、やさしい笑顔を浮かべて待っていてくれた。
「鍵、かけなくて平気なんですか?」
とたずねると
「鍵なくす方が怖いよ。この島で車盗るやつはいません。盗っても何処にももっていけないさ」
納得である。
カーフェリーが無いこの島では車を盗んで本土に持っていけないのである。
その時、ガタン、ガタンとものすごい音が聞こえた。車がエンストした音だ。
車からどっかのおじいちゃんが出てきたが、どう見てもあれはギヤを入れたままブレーキを踏んでエンスト停止したとしか思えない。
「もしかするとこの島は免許を持っていない人が車を運転してるんじゃ・・・!?」
とちょっと心配してしまったんだ。
粟島に来てからというものずーっと曇空だったが、翌日は思いっきり晴れてくれた。
海が碧い。
空が蒼い。
こんなにきれいな空と海を見たのは久々だった。
日本海はよく演歌の海といわれ、吹雪の中、灰色の海が牙をむき出し、怒涛の波が岩を洗う、と思われがちだ。
確かに間違ってはいないが、それは冬の話。
今は、夏をちょっとすぎた気持ちの良い季節である。
さっそく餌を仕入れ、僕はカミサンと二人で釜谷の防波堤に向かった。
海が抜けるような透明さで僕らを迎える。
小魚が群れをなして行き過ぎる。
粟島はコマセ(寄せ餌)が禁止されている。海を汚さない配慮からだ。
碧い海に向かって餌を投入する。すこぶる気持ちが良い。
だが・・・ぜんぜん釣れない。釣れるのは小魚ばかり。
せめて型のいいキスやグレなどこないものだろうかと思案した。
カミサンはすでに竿を持ったまま昼寝体制に入ろうとしている。
何気に防波堤の縁を見た僕の視線がある一点で固まってしまった。
「!!!!!!!」
見入ってしまった。
「石鯛だ!!」
何とあろう事か防波堤の壁際を6、70cmはあろうと思われる巨大な石鯛がゆうゆうと泳いでいる。
磯の王者といわれる石鯛がこんな所にいる。
防波堤の左側はすぐに磯につながっている。なるほど、いてもおかしくないわけだ。
いてもおかしくないが、僕がおかしくなってしまった。
何とキスの仕掛けで石鯛を釣りあげようと思ったのだ。
だが餌は「青イソメ」。道糸は「3号」。
どう考えても無理。
「青イソメ」にかかる石鯛なんて聞いたことないし、よしんばかかったところで3号の道糸で持つわけが無い。
そんなことは分かっている。
分かっているのに何もせずにはいられないんだ。
青イソメを房掛けにして、石鯛の目の前にサスペンド(笑)。
小魚がウワーっとよってくる。
石鯛は知らん顔。
獅子奮闘している間に王者石鯛は
「アホ!」
といいたげな顔をして沖に向かって泳いでいってしまった。
当たり前なんだ。
そんなことは分かっていたんだ。
カミサンが笑っている。
僕も笑った。
粟島の海に夕陽が沈んでいく。
碧かった海が一面夕暮れ色に染まっていく。
僕とカミサンは、水平線に沈んでいく夕陽をじっと見ていた。
粟島の最後の夜を迎えようとしているんだ。
粟島釣行記 完
Posted by 伸 at 13:07│Comments(6)
│想い出釣行記
この記事へのコメント
こんちは。
流石にイソメで
石鯛は釣れませんでしたか(笑)
でも、気持は判りますよ!
流石にイソメで
石鯛は釣れませんでしたか(笑)
でも、気持は判りますよ!
Posted by しょうり
at 2010年09月03日 13:09

しょうりさん、こんにちは〜
>流石にイソメで
>石鯛は釣れませんでしたか(笑)
当たり前なんですけどね(笑)
ものの見事にシカトされました
>でも、気持は判りますよ!
でしょ〜!
ああいう時は頭が真っ白になっちゃいますね(爆)
>流石にイソメで
>石鯛は釣れませんでしたか(笑)
当たり前なんですけどね(笑)
ものの見事にシカトされました
>でも、気持は判りますよ!
でしょ〜!
ああいう時は頭が真っ白になっちゃいますね(爆)
Posted by 伸 at 2010年09月03日 13:28
こんばんは!!
車あるから乗って来いとはwww
そんな緩い感じなんですね(^_-)-☆
今も変わらぬ時がそして人が、あって居るのかな?!?!
なんか粟島行ってみたくなりました!!!!
PS 石鯛。。。。素潜りで突いちゃえば良かったのに?!?!(´艸`)
車あるから乗って来いとはwww
そんな緩い感じなんですね(^_-)-☆
今も変わらぬ時がそして人が、あって居るのかな?!?!
なんか粟島行ってみたくなりました!!!!
PS 石鯛。。。。素潜りで突いちゃえば良かったのに?!?!(´艸`)
Posted by 裕也の父ちゃん at 2010年09月03日 18:12
父ちゃん、こんばんは!
>そんな緩い感じなんですね(^_-)-☆
緩いですね〜
人間の正しい生活がそこにあります
>なんか粟島行ってみたくなりました!!!!
ぜひぜひ!
キャンプ場もありますよ
>PS 石鯛。。。。素潜りで突いちゃえば良かったのに?!?!(´艸`)
あ!その手が!!
って無理ですって(^^;)
>そんな緩い感じなんですね(^_-)-☆
緩いですね〜
人間の正しい生活がそこにあります
>なんか粟島行ってみたくなりました!!!!
ぜひぜひ!
キャンプ場もありますよ
>PS 石鯛。。。。素潜りで突いちゃえば良かったのに?!?!(´艸`)
あ!その手が!!
って無理ですって(^^;)
Posted by 伸 at 2010年09月03日 18:19
こんにちわぁ♪
いやぁ〜〜とても のどかな文章ですね(o^_^o)
この文章からでも風景が伝わります!
小説と思わせる文章ですね(^_-)
石鯛は残念でしたが笑わせて頂きました(笑)
いやぁ〜〜とても のどかな文章ですね(o^_^o)
この文章からでも風景が伝わります!
小説と思わせる文章ですね(^_-)
石鯛は残念でしたが笑わせて頂きました(笑)
Posted by 龍虎 at 2010年09月04日 15:57
龍虎さん、こんにちは!
>いやぁ〜〜とても のどかな文章ですね(o^_^o)
>この文章からでも風景が伝わります!
>小説と思わせる文章ですね(^_-)
ありがとうございます(^-^)
この想い出釣行記シリーズは、ちょっと文体を変えてエッセイチックにしてます(汗)
ほめられると、嬉しいです
>石鯛は残念でしたが笑わせて頂きました(笑)
(^^;)まあ、いつもこんな感じで釣りしてます(笑)
>いやぁ〜〜とても のどかな文章ですね(o^_^o)
>この文章からでも風景が伝わります!
>小説と思わせる文章ですね(^_-)
ありがとうございます(^-^)
この想い出釣行記シリーズは、ちょっと文体を変えてエッセイチックにしてます(汗)
ほめられると、嬉しいです
>石鯛は残念でしたが笑わせて頂きました(笑)
(^^;)まあ、いつもこんな感じで釣りしてます(笑)
Posted by 伸 at 2010年09月06日 10:07
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