2010年10月19日
【想い出釣行記】第十四話 最上公園のレンギョ
私の田舎山形県新庄市には、「最上公園」というところがあります。
昔の城跡で今では天満宮など3つの神社を祀ってあり、新庄市民の憩いの場となっています。

最上公園には、掘りが3つあり、鯉、フナ、タナゴ、クチボソなどがいて、休日には子供から老人までの太公望で賑わいます。
ここが鱒系の管理釣り場なら最高なのにな、と最近よく思います(笑)。

今回の想い出釣行記は、ここ最上公園を舞台として、少年の頃の釣りへの情熱と罪悪感との葛藤を書いてみました。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
想い出釣行記 最上公園のレンギョ
昔の城跡で今では天満宮など3つの神社を祀ってあり、新庄市民の憩いの場となっています。

最上公園には、掘りが3つあり、鯉、フナ、タナゴ、クチボソなどがいて、休日には子供から老人までの太公望で賑わいます。
ここが鱒系の管理釣り場なら最高なのにな、と最近よく思います(笑)。

今回の想い出釣行記は、ここ最上公園を舞台として、少年の頃の釣りへの情熱と罪悪感との葛藤を書いてみました。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。
想い出釣行記 最上公園のレンギョ
◆―――――――――◆
「最上公園のお堀にでっかい鯉がいっぱいいるぞ」
当時、近所の釣り場ではもの足りず、近隣の町の川や沼に釣りに行っていた僕にとって聞き捨てならない情報が舞い込んだ。
最上公園と言うのは僕がはじめて釣りをした場所(第一話「はじめてのつり」参照)で家から歩いて10分という近場の釣り場である。
そこに「でっかい鯉」がいるなんてまさに灯台下暗しと言うものだ。

「どれどれ」
と言いつつチャリンコにのり下見程度と言う気分で最上公園に参上した。
「なんと!いるではないか。いるではないか。」
そんなに広くはない堀の中に50cmくらいの数匹の魚が悠々と泳いでいる。
それらのどれもが水藻を中心に円を書くように群れていた。
すでに何人かの釣り人が鯉用のリール竿をだし堀の中に投げ込んでいた。
「ムムム・・・」
いてもたってもいられなくなった僕は、時速30kmの猛スピードで家に戻り、投げ釣り用の竿とリール、練り餌のありったけを持って速攻で引き返した。
釣り場に着いた僕は
「ふ・ふ・ふ・待ってろよ。今、釣りキチ伸平君がキミタチを釣りあげてやっかんな」
と不敵にも群れのど真ん中に仕掛けを投げ入れた。
餌の投入でびっくりして逃げていった魚達もまたぞろぞろ集まり出した。
「よーしよーし」
いつ竿先にあたりが来るかとウキウキしながら待ち続ける。
練り餌の溶け具合を気にしながらも待ち続ける。
他の釣り人の様子を気にしながらも待ち続ける。
折りからの風で、かっぱえびせんのビニールが顔にあたっても待ち続ける。
ちょっと眠いけど待ち続ける。
待ち続けて待ち続けて・・・
「チクショウ!なして釣れねえんだ!」
という言葉をまるめてくしゃくしゃにして水面に投げつけた瞬間
「あれは、レンギョだよ」
ふと振り向くといつの間にかどこかのジイちゃんがたっていた。
「あれは、レンギョだよ。練り餌なんかじゃ釣れないよ。葉っぱ食ってんだからなぁ」
と、しみじみした声でボソッといった。
「じゃぁどうしたら釣れるんですか?」
「釣れねえよ、あんなもん。食ってもうまくねえしよ。へっへっへ。」
と言いながら去っていった。
僕はしばしボーゼンとしながら水藻に群れるレンギョを眺めていた。
それから3日後、僕は再びお堀の前にリール竿をもって立っていた。
しかし、仕掛けはこの間の仕掛けとはまったく違う。
10号の中通しの重りの先には三つ又のギャング針が光っていた。
水面にたゆとうレンギョを引っかけて釣ろうと言うのだ。
引っかけ釣りにはためらいがあった。
ただ、どうしても釣りたいと言う気持ちと、鮎だって引っかけて釣るじゃないかという半ば言い分けじみた思いがその時の僕を支配していた。
顔を若干引き攣らせ竿を振る。
1投、2投。かからない。
3投、4投まだだめだ。5投、空振り。
次の6投目のためにリールをカリカリ巻いているときだった。
道糸がものすごい勢いで右の方に走っていった。
「!!」
言葉にならない言葉を吐いて僕はしっかりとあわせた。
投げ釣り用の竿が満月となりリールが逆転の悲鳴をあげる。
「!!!」
右へ突っ走っていたレンギョが今度は左へ反転する。
逃がしちゃ行けないと言う思いと、可哀相だと言う思いが交錯する。
数分後。
僕の玉網の中には50cmくらいのレンギョが収まっていた。
堀の道端にはいつの間にか見物の人々が集まっていた。
中にはわざわざ玉網を覗きに来る人までいた。
釣ってホッとした気分の割には全然誇らしげな気持ちはなかった。
レンギョは鯉に似ていたがよくよく見ると全然違う魚体をしていた。
体型は鯉よりも細長く、背鰭は鯉よりも小さい三角形をしている。
目は口よりも下についており、そして何よりも鯉の特徴であるひげがないのだ。
このレンギョは最上公園の堀の水藻掃除屋として放流されたらしい。
本当は釣っていけない魚だったのかもしれない。
レンギョは大別してハクレンとコクレンがいると百科事典に載っていた。

(ハクレンジャンプ 東京新聞より)
僕が釣ったのはどちらなのかは正確には分からない。
ただなぜか、もう一生の中で決してレンギョは釣らないと心に決めていた。
中学2年生の初秋の頃だった。
「最上公園のお堀にでっかい鯉がいっぱいいるぞ」
当時、近所の釣り場ではもの足りず、近隣の町の川や沼に釣りに行っていた僕にとって聞き捨てならない情報が舞い込んだ。
最上公園と言うのは僕がはじめて釣りをした場所(第一話「はじめてのつり」参照)で家から歩いて10分という近場の釣り場である。
そこに「でっかい鯉」がいるなんてまさに灯台下暗しと言うものだ。

「どれどれ」
と言いつつチャリンコにのり下見程度と言う気分で最上公園に参上した。
「なんと!いるではないか。いるではないか。」
そんなに広くはない堀の中に50cmくらいの数匹の魚が悠々と泳いでいる。
それらのどれもが水藻を中心に円を書くように群れていた。
すでに何人かの釣り人が鯉用のリール竿をだし堀の中に投げ込んでいた。
「ムムム・・・」
いてもたってもいられなくなった僕は、時速30kmの猛スピードで家に戻り、投げ釣り用の竿とリール、練り餌のありったけを持って速攻で引き返した。
釣り場に着いた僕は
「ふ・ふ・ふ・待ってろよ。今、釣りキチ伸平君がキミタチを釣りあげてやっかんな」
と不敵にも群れのど真ん中に仕掛けを投げ入れた。
餌の投入でびっくりして逃げていった魚達もまたぞろぞろ集まり出した。
「よーしよーし」
いつ竿先にあたりが来るかとウキウキしながら待ち続ける。
練り餌の溶け具合を気にしながらも待ち続ける。
他の釣り人の様子を気にしながらも待ち続ける。
折りからの風で、かっぱえびせんのビニールが顔にあたっても待ち続ける。
ちょっと眠いけど待ち続ける。
待ち続けて待ち続けて・・・
「チクショウ!なして釣れねえんだ!」
という言葉をまるめてくしゃくしゃにして水面に投げつけた瞬間
「あれは、レンギョだよ」
ふと振り向くといつの間にかどこかのジイちゃんがたっていた。
「あれは、レンギョだよ。練り餌なんかじゃ釣れないよ。葉っぱ食ってんだからなぁ」
と、しみじみした声でボソッといった。
「じゃぁどうしたら釣れるんですか?」
「釣れねえよ、あんなもん。食ってもうまくねえしよ。へっへっへ。」
と言いながら去っていった。
僕はしばしボーゼンとしながら水藻に群れるレンギョを眺めていた。
それから3日後、僕は再びお堀の前にリール竿をもって立っていた。
しかし、仕掛けはこの間の仕掛けとはまったく違う。
10号の中通しの重りの先には三つ又のギャング針が光っていた。
水面にたゆとうレンギョを引っかけて釣ろうと言うのだ。
引っかけ釣りにはためらいがあった。
ただ、どうしても釣りたいと言う気持ちと、鮎だって引っかけて釣るじゃないかという半ば言い分けじみた思いがその時の僕を支配していた。
顔を若干引き攣らせ竿を振る。
1投、2投。かからない。
3投、4投まだだめだ。5投、空振り。
次の6投目のためにリールをカリカリ巻いているときだった。
道糸がものすごい勢いで右の方に走っていった。
「!!」
言葉にならない言葉を吐いて僕はしっかりとあわせた。
投げ釣り用の竿が満月となりリールが逆転の悲鳴をあげる。
「!!!」
右へ突っ走っていたレンギョが今度は左へ反転する。
逃がしちゃ行けないと言う思いと、可哀相だと言う思いが交錯する。
数分後。
僕の玉網の中には50cmくらいのレンギョが収まっていた。
堀の道端にはいつの間にか見物の人々が集まっていた。
中にはわざわざ玉網を覗きに来る人までいた。
釣ってホッとした気分の割には全然誇らしげな気持ちはなかった。
レンギョは鯉に似ていたがよくよく見ると全然違う魚体をしていた。
体型は鯉よりも細長く、背鰭は鯉よりも小さい三角形をしている。
目は口よりも下についており、そして何よりも鯉の特徴であるひげがないのだ。
このレンギョは最上公園の堀の水藻掃除屋として放流されたらしい。
本当は釣っていけない魚だったのかもしれない。
レンギョは大別してハクレンとコクレンがいると百科事典に載っていた。

(ハクレンジャンプ 東京新聞より)
僕が釣ったのはどちらなのかは正確には分からない。
ただなぜか、もう一生の中で決してレンギョは釣らないと心に決めていた。
中学2年生の初秋の頃だった。
Posted by 伸 at 13:32│Comments(12)
│想い出釣行記
この記事へのコメント
小さい時の想い出ってやつっすね(^.^)b
俺は大人になってから投げ浮き釣り仕掛けにフライのマラブー付けて狙って釣りに行きましたよ(^_-)
俺は大人になってから投げ浮き釣り仕掛けにフライのマラブー付けて狙って釣りに行きましたよ(^_-)
Posted by せんべいの世話係 at 2010年10月19日 20:38
こんばんは。
思い出釣行記・・・最高です!!
すばらしい思い出ですね!!
かっぱえびせんの空き袋が顔にあたるとは・・・
やはり伸さん、持ってますね!ニヤリ
思い出釣行記・・・最高です!!
すばらしい思い出ですね!!
かっぱえびせんの空き袋が顔にあたるとは・・・
やはり伸さん、持ってますね!ニヤリ
Posted by トーラス
at 2010年10月19日 21:04

伸平さん、こんばんは。
俺も幼い頃に狙ってたなぁ・・・懐かしいです。
あれ??レンギョってプランクトン系食べてるから練り餌でも釣れるはずだったような??
草食べるのって“草魚or青魚”じゃなかったっけ??
江戸川で専門に狙ってる人が居ますよね。
俺も幼い頃に狙ってたなぁ・・・懐かしいです。
あれ??レンギョってプランクトン系食べてるから練り餌でも釣れるはずだったような??
草食べるのって“草魚or青魚”じゃなかったっけ??
江戸川で専門に狙ってる人が居ますよね。
Posted by SHIGE@F-Style
at 2010年10月19日 21:38

せんべいの世話係さん、こんばんは~
投げ浮き釣り仕掛けにマラブーですか!
やったことはありませんが(^_^;)
管釣りも固定観念にとらわれないよう自由な発想がいいですよね。
レギュレーションの範囲で(笑)
投げ浮き釣り仕掛けにマラブーですか!
やったことはありませんが(^_^;)
管釣りも固定観念にとらわれないよう自由な発想がいいですよね。
レギュレーションの範囲で(笑)
Posted by 伸 at 2010年10月19日 22:13
トーラスさん、こんばんは!
>かっぱえびせんの空き袋が顔にあたるとは・・・
>やはり伸さん、持ってますね!ニヤリ
でしょ!?
中身が入っていたらもっとよかったんですけどね。
あのころかっぱえびせんはご馳走でしたから(爆)
>かっぱえびせんの空き袋が顔にあたるとは・・・
>やはり伸さん、持ってますね!ニヤリ
でしょ!?
中身が入っていたらもっとよかったんですけどね。
あのころかっぱえびせんはご馳走でしたから(爆)
Posted by 伸 at 2010年10月19日 22:14
SHIGEさん、こんばんは~
>あれ??レンギョってプランクトン系食べてるから練り餌でも釣れるはずだったような??
>草食べるのって“草魚or青魚”じゃなかったっけ??
ニヤリ!
さすがですね。
実は当時、文章に出てくるジイちゃんが「レンギョ」と言ったのでそのまま書いているんですが、今思うとあれは「レンギョ」ではなく、「草魚」だと思うんですよ。
状況的に見てもね。
でもね!
「想い出」の中では「レンギョ」なんです。
利根川水系では青魚がすごいですね。
1.6mとか言ってましたよ。
一度メーターオーバー釣ってみたいですね。
>あれ??レンギョってプランクトン系食べてるから練り餌でも釣れるはずだったような??
>草食べるのって“草魚or青魚”じゃなかったっけ??
ニヤリ!
さすがですね。
実は当時、文章に出てくるジイちゃんが「レンギョ」と言ったのでそのまま書いているんですが、今思うとあれは「レンギョ」ではなく、「草魚」だと思うんですよ。
状況的に見てもね。
でもね!
「想い出」の中では「レンギョ」なんです。
利根川水系では青魚がすごいですね。
1.6mとか言ってましたよ。
一度メーターオーバー釣ってみたいですね。
Posted by 伸 at 2010年10月19日 22:18
こんにちわ
ギャング針・・・
公園の鯉の背中が傷だらけだったのを思い出しました(悲
大物へ憧れは今でもありますよ!
鯉のメーターオーバーは今でも釣りたい・・・(笑
ギャング針・・・
公園の鯉の背中が傷だらけだったのを思い出しました(悲
大物へ憧れは今でもありますよ!
鯉のメーターオーバーは今でも釣りたい・・・(笑
Posted by さちだん at 2010年10月20日 11:41
さちだんさん、こんばんは!
>ギャング針・・・
>公園の鯉の背中が傷だらけだったのを思い出しました(悲
(つд`)
いまだにトラウマです。
>大物へ憧れは今でもありますよ!
>鯉のメーターオーバーは今でも釣りたい・・・(笑
釣りたいですよね〜
鹿島槍に行って、ヤリ〜!とか言いたいですね
>ギャング針・・・
>公園の鯉の背中が傷だらけだったのを思い出しました(悲
(つд`)
いまだにトラウマです。
>大物へ憧れは今でもありますよ!
>鯉のメーターオーバーは今でも釣りたい・・・(笑
釣りたいですよね〜
鹿島槍に行って、ヤリ〜!とか言いたいですね
Posted by 伸 at 2010年10月20日 20:25
伸さん、こんばんは。
モクレン? あっハクレンですか!
見たことないです(汗
中学生のいい思い出ですね。
確か私が初めて管釣りに行った
のも中2でした。
そうあれは東山湖で「ボ」でした(涙
モクレン? あっハクレンですか!
見たことないです(汗
中学生のいい思い出ですね。
確か私が初めて管釣りに行った
のも中2でした。
そうあれは東山湖で「ボ」でした(涙
Posted by 和
at 2010年10月20日 22:30

和さん、おはようございます
>モクレン? あっハクレンですか!
>見たことないです(汗
普通あまり見ないですよね
この辺では利根川あたりにいるようです
産卵するときに写真のようにジャンプするらしいですね
>確か私が初めて管釣りに行った
>のも中2でした。
>そうあれは東山湖で「ボ」でした(涙
驚!
もう中2から管釣り始めてたんですね〜
私は丸2年半なので大先輩じゃないですか!
どの釣りも奥深いですね
>モクレン? あっハクレンですか!
>見たことないです(汗
普通あまり見ないですよね
この辺では利根川あたりにいるようです
産卵するときに写真のようにジャンプするらしいですね
>確か私が初めて管釣りに行った
>のも中2でした。
>そうあれは東山湖で「ボ」でした(涙
驚!
もう中2から管釣り始めてたんですね〜
私は丸2年半なので大先輩じゃないですか!
どの釣りも奥深いですね
Posted by 伸 at 2010年10月21日 10:20
去年の夏、利根川でレンギョと遊びましたが
全てスレで泣きが入りましたよw
関東に来て荒川で釣りしてる爺ちゃんをみて
金のカラ針で玉ウキを使い流すだけの作業
なのですがレンギョが爆釣するんですよね~
はじめてこの魚を見たとき不気味でした(汗)
地元でレンギョは聞いたことなかったし見たことも
なくある意味新鮮でした☆
全てスレで泣きが入りましたよw
関東に来て荒川で釣りしてる爺ちゃんをみて
金のカラ針で玉ウキを使い流すだけの作業
なのですがレンギョが爆釣するんですよね~
はじめてこの魚を見たとき不気味でした(汗)
地元でレンギョは聞いたことなかったし見たことも
なくある意味新鮮でした☆
Posted by maboo at 2010年10月23日 10:24
mabooさん、おはようございます。
>金のカラ針で玉ウキを使い流すだけの作業
>なのですがレンギョが爆釣するんですよね~
金のカラ針だけで釣れるんですか?
いや~よほど腹減っているんでしょうか(笑)
>はじめてこの魚を見たとき不気味でした(汗)
初めて見ると結構グロいですよね。
鯉のイメージで決してみてはいけないですね。
mabooさんもいろんな釣りしてますね~
>金のカラ針で玉ウキを使い流すだけの作業
>なのですがレンギョが爆釣するんですよね~
金のカラ針だけで釣れるんですか?
いや~よほど腹減っているんでしょうか(笑)
>はじめてこの魚を見たとき不気味でした(汗)
初めて見ると結構グロいですよね。
鯉のイメージで決してみてはいけないですね。
mabooさんもいろんな釣りしてますね~
Posted by 伸 at 2010年10月24日 07:37
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。