【想い出釣行記】第十話 粟島釣行記その1

2010年08月05日 07:36

久しぶりの「想い出釣行記」です。

この「想い出釣行記」は、私が釣りをはじめたガキンチョの頃から、近年にいたるまでのプライベートな釣りのダイジェストを、自分なりにエッセイ風に書いたものです。

今回は、「ある方」のリクエストにお答えして、テーマは『夏』、『郷愁』そして『古き良き昭和』

・・・この「古き良き昭和」ってところがイマイチひっかかるんですが
昔の記憶をフラッシュバックさせて・・・近い時代ならまだいいかなぁ・・・

まぁ、ちょっと違うかもしれないけど、お暇な方はご覧ください。

今を去ることx十年前。

子供がまだ生まれていなかった頃に、カミさんと行った新潟県の粟島への釣行記

想い出釣行記第十話 「粟島釣行記その1」をお届けします。

今回は、週刊4連載で行きますよん!
駐車場に車をとめて外にでると、そこには碧々とした日本海が広がっていた。

はるか彼方には、今から僕たちが行こうとしている粟島が見える。



僕とカミサンは新潟県村上市(だったかな?)にある岩船という港に来ている。

もう8月も下旬にさしかかっているためか、夏休みを利用して粟島に渡ろうとする人が少ないようだ。

駐車場は閑散としている。

トランクから衣服が入っている荷物と愛用の釣り道具を取り出す。
以前からの夢だった、粟島への釣行がこれから始まろうとしているのだ。


新潟県というと佐渡島が有名だが、粟島は佐渡から北東に数Km程度いった所にぽっかりと浮かんでいる。
とても小さな島で、人が住んでいる町は内浦釜谷の2個所しかない。

粟粒みたいに小さな事から「粟島」という名前になったという説があるくらいだ。
粟島浦村というのが正式名なのだ。




今回の旅行は、内浦2泊、釜谷2泊で合計4泊5日のゆっくりのんびり旅行になっている。

磯釣りで石鯛や黒鯛などの大物を狙おうと思ったが、2ヶ月前に捻挫した足首が直らないので磯場は避け、堤防やテトラあたりから中・小物を狙う事になってしまった。
非常に残念なのだ。

岩船港から粟島汽船の高速艇に乗る。
船内には、釣り道具を持った人や、島の住民と思われるおじさん・おばさんが乗り込んでいる。
観光目的の人は少なかったなぁ。

内浦の港に着くと、桟橋には民宿の旗を持った人が何人か迎えに来ている。
僕等の泊る民宿の「ますや」からは、チャリンコにまたがったニイチャンがきていた。

「今日は何人くらいの人が泊る予定なんですか」
ときくと
「お客さん達だけですよ」
という答え。
(むふふ・・・大名気分だー)と満足する。

荷物を置いてすぐに「ますや」の主人に挨拶にいく。ついでに、近場の釣り場を教えてもらった。
釣り具やに行って餌を買おうと思ったら、ご主人が海老餌を分けてくれた。

「ΦΩΘΨΞ∈・・・へっへっへ」

思いっきりなまっているので何を言っているのかよく分からなかったが、多分「いっぱい釣って来いよ」くらいの事だったと思う。

近場のお土産や兼釣具屋で不足していた道具を買い込み、内浦港に突き出した防波堤にいった。
2〜300mくらいはあるだろうか。大きな防波堤だった。

先端には何人かの釣り人がいたが、僕は途中で枝別れしている所に入っていった。岩場とテトラポットが小さな湾を作っている。小物釣りには絶好のポイントだ。

海の上から見てもシマダイやグレの子供が群れをなしているのが分かる。

粟島全域はコマセ(撒き餌)が禁止されているので使えない。

「ますや」の主人からもらったえび餌を針にさし、粟島来島の記念すべき第1投。
餌が海底につく前に、小魚どもが集まってくる。
針よりも小さな魚達なのであっという間に餌を食われてしまった。

シマダイやグレの小魚が何匹かかかるが、いまいち物足りない。
竿は投げ竿ではなく渓流用の竿を使っているので、ひきはいいんだけどね。
カワハギやフグがかかると、ハリスをもっていかれる。
歯があるのですぐ切れてしまうのだ。

ちょっと頭にきたので、オモリと針が一体化したアイナメ用のブラクリをとりだす。
釣針もそこそこおおきめなので小さな魚はシャットアウトだ。
オモリが大きいので渓流竿がしなる。

岩と岩の間に仕掛けを落とし、2,3分経過した頃だ。
いきなり竿がドーンとしなる。

「おやっ」っとおもってあわせるとものすごい引きだ。
竿はまさに満月状態になる。
糸がものすごい勢いで真横にながれる。
「なんだ、なんだ」
と思いながらも竿を操っていると
「メキッメキッメキッ・・・バキッ」
といやな音がした。

なんてこったい、竿が折れてしまったのだ。
でも、渓流用のカーボン竿は折れたからといって真っ二つになるわけではなくかろうじてつながっている。
糸を手繰り寄せ、手釣りに切り替えた。

やっと弱ってきた魚を捕り込むと30cm弱の石鯛がかかっていた。
ぼくは小躍り状態で、竿が折れた悔しさも忘れ防波堤の上で踊ってしまった。
その時、ふとカミサンを見るとやはり今のより小さいながらも石鯛をGETしていたのだ。

その晩は「ますや」のおかみさんが、釣れた石鯛をきれいにさばいて出してくれた。
晩飯だけでも満足なのに、釣れたばかりの旨い石鯛は最高のビールの友達である。
いや友達というより愛人といった方がいいかなぁ。
まぁとにかく、魚もビールも旨いのである。
遠くに聞こえる波の音を聞きながらしみじみと粟島の第一夜はふけていくのだ

(つづく)

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